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vol.90 保守を考える -その5- ~世界の保守~

吉田つねひこ「政治が視えるメルマガ」の第90号です。

このメルマガでは、国会の流れ、政策の動き、私の活動などをお伝えします。

 

テーマ : 保 守 を 考 え る

-その5― 《世界の保守》

~はじめに~

 

東京都議会議員選挙が、7月2日に実施されましたので、前号に引き続き、政

治的なお話を少しばかり挟ませていただきたいと思います。

 

【丙】英国の保守 (その2)<バークの思想と保守の本質>

 

英国の保守主義はおそらく楽天的な進歩主義を批判するものとして生まれ

て、発展していったのではないしょうか?確かにバークはフランス革命の批

判者であり、ある意味では啓蒙思想に敵対した人物です。しかしながら、バ

ークにとって“保守”とは、古いものをそのまま維持することではありませ

んでした。彼は「何らか変更の手段を持たない国家には、自らを保守する手

段がありません。そうした手段を欠いては、その国家が最も大切に維持した

いと欲している憲法上の部分を喪失する危険すら冒すことになり兼ねません」

と述べると同時に「相続という観念は、確実な保守の原理、確実な伝達の原

理を涵養し、しかも改善の原理をまったく排除しないということを、イング

ランドの民衆は熟知しています」そして「私は変更をもまた排する者ではあ

りません。しかしたとえ変更を加えるとしても、それは保守するためでなけ

ればなりません」とも述べています。つまりバークが述べたかったこと、そ

して真の意味での保守の思想とは“大切なものを守り保つこと”であるのだ

と思います。これはある意味で“保守するためには変わらねばならない”と

いう逆説にも聞こえる保守主義の信条を熟成することになります。

 

バークは清教徒革命と併せてイギリス革命を完成させた名誉革命は、まさ

に保守と修正により王国の古来の原理を回復したと考えました。それに比し

てフランス革命は、王国の過去の原理の回復ではなく歴史的根拠をもたない

抽象的な原理に立脚した歴史の明確な断絶であったと断じています。バーク

は民主主義に敵対したわけではありません。実際彼は下院が民意により支え

られていることを強調しています。しかしながら、同時に国王自体は王国の

時間を超えた連続性を意味し、その地位の根拠を国民の選択に拠ることは認

めませんでした。

 

繰り返しになりますが、真の意味での保守の思想とは、“大切なものを守

り保つこと”そして“そのために変わらなければならない”のだと思います。

アンソニー・クイントンは“不完全性の政治学”で伝統主義・有機体主義

・政治的懐疑主義の三原理を本来の保守主義の思想を定義づける特徴として

列挙し、西部邁は“焚書坑儒のすすめ”で、社会についての有機体説・変化

についての漸進主義・認識についての懐疑主義の三幅対こそが保守思想であ

ると述べています。

(次号に続く)

 

元衆議院議員 吉田つねひこ

 

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(2017年8月7日 記)

 

民進党愛知県第1区総支部長

元衆議院議員 吉田つねひこ

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