吉田つねひこ「政治が視えるメルマガ」の第65号です。
このメルマガでは、国会の流れ、政策の動き、私の活動などをお伝えします。
テーマ : 日本の医療制度を名実ともに世界一にするために
~ Medical Tourismを考える ~
―第1回―
~はじめに~
前号まで7回に渡り、わが国の新設医大及び医学部定員増加政策を本当に国
民そして医療崩壊を食い止めるためという本来の目的に合致させ、なおかつ
現状のままの医師数でも医療崩壊を食い止める為の処方箋はできないか献策
し、海外の事例も示しながら論じてまいりました。今号からは、所謂「Medi
cal Tourism(メディカルツーリズム)」について、その歴史や流れ、意義
そして今後の展望等について考察してまいりたいと思います。
■Medical Tourism(メディカルツーリズム)を考える:その1
Medical Tourism(メディカルツーリズム)は医療観光、医療ツーリズムと
も表現される事がありますが、一般的に居住国とは異なる国や場合によって
地域を訪問し、診断や治療などの医療サービスを受けることと考えられてい
ます。またツーリズムとなってはいますが、実際のツーリズムいわゆる観光
は付随する事もしない事もあります。そもそも古代から医療を目的とする旅
行の歴史は存在します。古代ギリシアのサロニカ湾アスクレーピオスの聖域
への巡礼と療養は良く知られており、また、日本の湯治や欧米でのスパやサ
ナトリウムなどへの転地療養もその一部だと考えられます。
しかし、現代のMedical Tourismは先進国の患者や発展途上国の富裕層が
1:自国よりはるかに安い手術代などの治療費
2:高度先端医療技術
3:法律上の問題などで自国では不可能な臓器移植や特殊な手術
4:観光と組み合わせた高度な医療機器による健康診断 等を目的として、
他国に渡航して目的とする医療サービスを受ける事が主体となっています。
現在の渡航先としてしばしば選択されるのは、主にアメリカなどで訓練を受
けた医師が増加し、欧米と遜色ない医療技術が非常に安価に受けられるイン
ドやシンガポール、タイ、マレーシア、メキシコなどです。
以前、LASIKや美容整形が日本より安価だという事で一時期多くの日本人が
渡航し医療サービスを受けた韓国も国家戦略の一つとして力を入れています。
しかし、こういった現代のMedical Tourismは最近発生したものではなく、
例えば第二次世界大戦後、中近東の特に産油諸国の王族はその多くは欧米で
の医療を選択してきましたし、近現代の国家元首もしばしは最良の治療を受
けるために海外での治療を選択し、結果として、国家元首の海外療養中にク
ーデターが発生する事も頻繁にみられます。最近打倒されたカダフィ政権も
1969年、時のリビア国王イドリース1世のトルコでの病気療養中にカダフィ
ら将校たちによるクーデターが起こり、 王制は打倒されました。同様に近年
タリバン勢力が跋扈するアフガニスタンも1973年、国王ザーヒル・シャーが
ローマで病気療養中に軍部のクーデターが起こり、王制廃止となりました。
次稿以降では、活発化するMedical Tourismの現状とその展望、その成立条件
、各国の状況と日本のおかれた状況と可能性を考察していきたいと思います。
(次号に続く)
元衆議院議員 吉田つねひこ
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(2016年9月26日 記)
民進党愛知県第1区総支部長
元衆議院議員 吉田つねひこ