私吉田つねひこは、4月26日厚生労働委員会で障害者雇用促進法改正案についての質疑を行いました。その詳細は下記のとおりです。
○吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。どうぞ、質問、よろしくお願いいたします。きょうは、特に各省庁から副大臣の諸先生方も来ていただきまして、御多忙中、本当に恐縮でございますが、ちょっと教えていただきたいことがありますので、よろしくお願いいたします。
それではまず、お伺いさせていただきますが、大臣、昨年の通常国会において、データの不正とかさまざまな問題がある中、強行採決という形になってしまいましたが、働き方改革関連法案が可決、成立をいたしました。そして、大臣、この四月から順次施行されてきていますね。現在、厚生労働省のホームページには次のように書いてあります。「就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。」「「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。」つまり、働き方改革というのは、障害者の方も含めて、政府の言う一億総活躍社会をつくる重要な鍵となる改革であると、大臣、言えますね。しかし、現状を振り返ってみると、法定雇用率は、欧米よりも、大臣、はるかに低い水準にとどまっているのはお認めになられると思います。それどころか、昨年は、国や地方自治体において、本来計上してはならない方を障害者として計上して、見かけ上で法定雇用率を達成していたという不祥事までが発覚してしまいました。まず、大臣、そこでお聞きしますが、本改正案は、本当に障害者にとって多様な働き方を選択できる社会の実現に資するものなのでしょうか。また、働く方一人一人がよりよい将来の展望を持てるようにする改革でしょうか。本法案と働き方改革の関連について、大臣の見解をお伺いいたします。
○根本国務大臣 今、委員から御紹介いただきましたように、働き方改革、これは、働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を目指すものであります。今回の法案には、官民問わず、障害者お一人お一人の活躍の場を拡大するという観点から、さまざまな措置を盛り込んでいます。例えば、具体的には、障害者の活躍の場を拡大するための措置として、国及び地方公共団体に対して、障害者活躍推進計画の作成や障害者雇用推進者等の選任を義務づけると同時に、民間の事業主に対し、短時間労働者のうち週所定労働時間が一定の範囲内にある者の雇用に対する特例給付金や、中小事業主の認定制度などを講じております。これらの措置によって、障害者がその希望や能力に応じて生き生きと活躍できる職場づくり、要は、活躍の場を拡大するというのが法律の大きな眼目の一つですから、その意味で、障害者がそれぞれの事情に応じて多様な働き方を選択できるようにしたいと思っておりますので、その意味で、本法案は、働き方改革に通ずるものだと考えています。
○吉田委員 大臣、ありがとうございました。それでは、今回の視覚障害の話、厚生労働省と、そして、おいでいただきました各副大臣にお伺いしたいと思います。大臣、複数の省庁で裸眼視力が悪い人を視覚障害者として計上していたと聞きましたが、霞が関の省庁の皆様が、本当にこれ、意図的でなく、裸眼視力が悪い人を障害者だと思っていたとしたら、とんでもないことだと逆に思いますよね。それが意図的でないともし霞が関の省庁の方がおっしゃるのであれば、中央官庁の認識は、日本人の場合、人口の半分以上、近視ですよ。じゃ、半分の国民が視覚障害者で手帳を交付されていたと認識していたということですか、大臣。厚生労働省の大臣にお伺いします。はっきり答えてください。大臣、答えて。ちゃんとこれ、細かくレクしてあると思います。
○根本国務大臣 特定の官庁においてそういう不適切な対応があったと承知をしておりますが、霞が関全員というよりは、むしろ、それは特定の官庁が、不適切計上の方法に特異性が認められる行政機関がありました。ですから、あのときの検証委員会の報告でも、基本中の基本の確認不足だとか、法令の勝手な解釈だとか、あるいは、長年引き継がれてきたものと言いわけが許されるはずもなく、まことにずさんな事務処理、障害者の雇用促進に向けての真摯な努力がなされてきたかについて甚だ疑問を抱かざるを得ない、こう非常に厳しい指摘がなされております。私も、そのとおりであると認識しています。
○吉田委員 じゃ、私が今お伺いして思ったのは、大臣、厚生労働省としては、半分の方が近視のこの日本国で、裸眼視力で障害者の認定をしているなんということはあり得ないし、極めてばかばかしいことである、そういった認識でよろしいですね、大臣。そして、大臣、もう一つお伺いしますが、厚生労働省では、私はこれ、聞いておきましたけれども、万が一にもそういう計上というのは、まああり得ないと思いますが、なかったですよね。
○根本国務大臣 厚生労働省は、まさに厚生労働行政を担当する省ですから、そういうことはありません。
○吉田委員 大臣、安心しました。一応、それ確認しておかないと。大変大事なことですから。じゃ、各省庁の副大臣の先生方、こんなことで副大臣が私に追及されるのは、本当は官庁が勝手にやられたことなのかもしれないですが、ちょっとお許しいただいて、これ、実際は意図的に水増ししたんですよね。申しわけないですけれども、きょう、農林水産省、総務省、経済産業省、環境省、国土交通省、来ていますけれども、これ、絶対、意図的に水増しをしたんだと思います。だって、そもそも「視覚障害とは」ということを、各省庁は厚生労働省に確認すれば正確におわかりになりますよね。省庁連携という意味でも、これ、相当問題ですよ。実際、きょうお見えの各省庁の副大臣の先生方は、裸眼視力が〇・一以下で、矯正視力、眼鏡をかけたりコンタクトをしたら一・〇の方を視覚障害者とお思いになりますか。思うか思わないということを端的に答えてください。順番にお願いします。
○鈴木(淳)副大臣 私も眼鏡でありますが、そうは思いません。
○小里副大臣 同じく、そうは思いません。
○磯﨑副大臣 同じく、思いません。
○大塚副大臣 お答えします。私も、そう思いません。
○城内副大臣 同じく、私もそう思いません。
○吉田委員 これは思われないですよね、どう考えても。そして、皆さんの後ろに控えていらっしゃる、皆さんをお支えしている官僚の皆さんが、意図的じゃなくこんなことをするわけないですよね。そういった中で、もしこれが本当に意図的じゃないという御主張をされるんだったら、こんな障害者や障害者雇用をばかにした話はないですし、障害者雇用を相当軽視したということになります。なので、もう一回だけ、お一人ずつお伺いして、これで終わりなのでお許しいただきたいんですが、今の、そう思われないと副大臣が思われるんだったら、意図的な水増しであったということはお認めいただきたいんですが、順番にお願いできますか。
○鈴木(淳)副大臣 まず、昨年発覚しました障害者雇用の不適切な計上の問題でございますけれども、障害者の皆様を始めとして国民の信頼を傷つける結果になりまして、本当に申しわけありません。改めて深くおわびを申し上げます。公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議のもとに設置されました検証委員会では、総務省における障害者の不適切な計上のほとんどが視覚障害だったということで指摘されておりますが、この点につきましては、担当者が視覚障害の要件を正しく理解をせず、本来、視覚障害の判断は矯正視力を基準とすべきところを、裸眼の視力が悪い者を障害者として計上するという実務慣行が漫然と行われてきた、こういうことでございまして、聞き取りをしましたところ、総務省では、法令の解釈、理解を誤り、裸眼の視力が悪い者を障害者として計上するという実務慣行が漫然と行われてきたということでございまして、ただ、そこには、意図的な対応を行った事例は確認されなかったということでございます。しかしながら、たとえこれが意図的ではなかったとしましても、これは許されることではありませんので、法律制度につきましての部内への周知、障害者手帳の確認の徹底、チェック体制の確立を図りまして、二度とこうしたことがないように徹底してまいりたいと思います。
○小里副大臣 視覚障害者につきましては、検証委員会の報告書にもありましたとおり、身体障害者障害程度等級表の記載の確認が十分ではなくて、矯正視力ではなく裸眼で判断するとの運用が続いていたところでありますが、これは、例年どおりの作業を毎年同じように行ってきたものでありまして、意図的に不適切な対応を行ったものではないと考えております。しかしながら、不適切な計上を行っていたことは事実でありまして、このことにつきましては深くおわびを申し上げ、再発防止にしっかり取り組んでまいりたいと存じます。
○磯﨑副大臣 まず、経産省、特許庁におきまして不適切な計上がございまして、本来は民間事業者に率先をして取り組むべき立場にあるにもかかわらず、このような不適切な計上がございましたことにつきましてはまことに遺憾であり、深くおわびを申し上げたいというふうに思います。調査、ヒアリングの結果によりますと、前例踏襲によりまして、要件を正確に理解することなく、安易に健康診断の結果から裸眼視力で判断をしたということでございますので、長年引き継いできたということで言いわけが許されるものではないということはそのとおりでございますけれども、ただ、意図的に対応を行ったものということの認識はなかったということでございます。深く反省した上で再発防止に取り組んで、しっかりと組織全体として障害者雇用に推進をしていく、そう行ってまいりたいというふうに思っております。
○大塚副大臣 お答えいたします。極めてずさんな事務処理が担当者任せの中で長年にわたり続けられていたところでありまして、あってはならないことだというふうに我々も認識しておるところでございます。なお、このような事務処理が法令やルールに反していることを認識しながらあえて不適切な計上を行ったものではなく、意図的ではなかったというふうに考えております。いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成と、障害のある方が活躍できる場の拡大に向けて着実に取り組んでまいりたい、かように考えております。
○城内副大臣 お答えいたします。環境省といたしましては、身体障害者障害程度等級表におけます視覚障害欄の一級から六級のいずれかに該当する障害を持つ方を視覚障害者に計上するものと認識しておりました。一方、この判断をする上での視力の数値につきましては、本来矯正視力によるべきところ、裸眼視力によるものと誤って認識し、不適切計上が引き継がれていたとの報告を受けております。他方で、不適切計上問題につきましては、国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会報告書において、「不適切計上のあった国の行政機関のいずれにおいても、意図的に不適切な対応を行った例は把握していないとの認識」と示されているように、環境省におきましても、意図的に不適切な対応を行った例は確認できませんでした。いずれにせよ、ずさんな計上があった事実については、これを真摯に反省し、この場をおかりしまして深くおわび申し上げます。二度とこうした事例が生じることがないように、しっかりと再発防止に取り組むことはもとより、組織全体として障害者雇用を推進するという意識を徹底させ、法定雇用率の達成を維持し、その取組についてしっかりと強化してまいります。
○吉田委員 いや、これだけお話ししても、意図的でなかったとおっしゃる。だって、おかしいですよね。副大臣の皆さん、最初に、それは障害者じゃないと、もう全員がぱっとお答えになったわけじゃないですか。それに対して、副大臣の皆様方と同じように優秀な役所の事務方の皆さんが、そんな、裸眼視力で障害認定がされるなんということは思うはずないと思いますよ、はっきり申し上げて。いや、もうちょっと言いますと、日本人の半分が近視と言いましたけれども、本当に、私も大学の教官を今でもやっていますから、大学の学生たちに、この中で近視の人、コンタクト、裸眼視力が〇・一以下の人、手を挙げてと言うと、ほぼ全員挙げたりするような時代ですよ。そういったところで、それは極端な例もあるんですよ。もちろん、みんな近眼じゃないグループもいるけれども、それでもやはり、それぐらい日本人って本当に近視が多い、東アジアは多いんですよね。そういったところで、意図的じゃないという答弁は、これは国民の皆さんが非常にがっかりするし、そういう小さなうそを積み重ねていくと、大きなうそになって国民の信頼を失うんじゃないでしょうかね。根本大臣、今の各省庁のお話を聞いて、これは通告していないですから、根本大臣の御意見だけ聞きたいんですけれども、本当にこんなことを、意図的、いや、今いらっしゃる副大臣の方が意図的にやったわけじゃないですよ。事務方の方がそういう意図的に不正を踏襲してきたということだとは思うんですが、根本大臣、本当にこれは意図的じゃないと厚生労働大臣が思われますか。一言いただけませんか。
○根本国務大臣 今回の事案は、私も、基本中の基本の確認不足、認識不足だと思うし、法令の勝手な解釈だと思います。しかも、それが毎年引き継がれてきた。これは本当に、言いわけが許されるはずもないし、ずさんな事務処理だと私は思います。ただ、これを意図的かどうかという、判断するのは、私が個人的に判断するというよりは、そこは、検証委員会というのをつくって、そこで客観的に、ヒアリング、あるいはいろんな、各省庁と検証委員会がきちんと、どうしてこういうことが起こったのかということをやりとりしながら、検証をしながら、そして、検証委員会のもとでも、検証委員会の中で、たしか、意図的というのは法令やルールに反して許せないものであると認識しながらあえて計上したもの、こういう整理をした上で、要は漫然とやっていたとか勝手な解釈をしていたとか、そういうことは事実として認定されておりますが、そこは、そういう整理をした上で、ここは意図性を認識することはできないと判断した旨説明されておりますので、私は、そこは私が個人的というよりは、きちんとした検証委員会で判断されたものだと思っております。
○吉田委員 本音ではもうちょっと違うお考えをお持ちだと思いますけれども、大臣としてはそういう御答弁しかしようがないですよね。大丈夫です。副大臣の先生方、本当に、これはもう、ありがとうございました。今後、絶対これは生かしていただいて、二度とこういうことがないようにということと、やはりちょっと恥ずかしいですよね。事の、全体的な事例として非常に恥ずかしいことでもございますので、やはり本当は意図的だったと認めていただいて、真摯に反省して次に生かしていただくという御答弁をいただく方が国民の信頼は得られたかなと私は個人的には思いますが、お立場もありますので、きょうの御答弁で結構でございます。どうぞ、先生方、お忙しいと思いますので御退席ください。ありがとうございました。
さて、この話ばかりやっていてもしようがないので、次の本質的なもう少し部分に行きたいと思います。障害者種別の違いによる雇用状況について、大臣、お伺いしたいと思います。労政審分科会に提出された資料によりますと、身体障害者のうち、十八歳以上六十五歳未満の在宅者の方が百一・三万人、雇用障害者数が重度と重度以外を足すと二十五・六万人で、二五・二%の方が雇用されています。知的障害者では、同様に、五十八・〇万人に対して十一・〇万人で、一九・〇%。精神障害者では二十歳以上と基準が少し違っているんですが、二百三・一万人に対し七・一万人と、三・四%になりますね、これは。極端に異なる数字となっています。もとより、症状などによって就業の可否とかが異なるのはもちろん我々認識をしております。このような、大臣、障害種別による雇用者数、雇用率の違いについて、大臣の現状に対する認識と、今回の改正案によってどのように改善も含めてしていくのか、大臣の御見解をお伺いします。
○根本国務大臣 今委員から御紹介がありました。平成三十年六月一日現在の民間の雇用障害者数、これは十五年連続で過去最高を更新して、実人数ベースで四十三・八万人になっています。そのうちで重度障害者が十三・四万人、重度以外の障害者が三十・四万人。重度障害者の雇用者数は増加しているものの、重度以外の障害者と比較すると少ない状況にあります。就労の困難度の高い重度障害者の雇用を促進するために、事業主に対して職域の拡大の努力を促すとともに、その雇用には施設設備の改善等に多くの負担を伴うことを考慮して、障害者雇用率制度、この重度については雇用率制度の適用上、有利に取り扱っております。(吉田委員「大臣、僕が言ったのは種別ですよ」と呼ぶ)種別は、平成三十六年一月現在、民間の雇用者、障害雇用者数は過去最高で五十三・五万人で、先ほどは実人数ベースで申し上げましたけれども、五十三・五万人、そのうち身体障害者が三十四・六万人、知的障害者が十二・一万人、精神障害者が六・七万人、こういう状況になっております。(吉田委員「認識を聞いているんです、大臣の認識」と呼ぶ)認識は、身体障害者の就労が促進される一方、精神障害者の年間就職件数、これは増加しておりますが、雇用数がまだ少なくて、精神障害者の雇用に課題があると認識をしております。(吉田委員「今後この法案でどうなるかと聞いています」と呼ぶ)この法案。この法案はまさに、要は、障害者の活躍の場を拡大する。それから、これは精神障害者の雇用にある程度効果があるのではないかと思いますが、短時間であれば就労可能な障害者などの雇用機会を確保するために、短時間労働者のうち、週所定労働時間が一定の範囲内にある障害者を雇用する事業主に対する特例給付金、こういうものを創設いたしました。これからは、精神障害者の皆さん、今までは身体障害者が多かったんですけれども、これからは、やはり精神障害者の皆さんが、障害の方一人一人がその特性に応じて生き生きと活躍できる環境整備をして、社会を実現したいと思います。
○吉田委員 大臣、だから、最後のところが聞きたかったんですよ。途中、私、ごめんなさい、挙手せずに言っちゃいましたけれども。だから、大臣、本当、一番のポイントは、雇用者数、雇用率の違いについての大臣の現状の認識と、この法案によってどう改善するのかということを聞きたかったので、そこの前のところは要らないし、大臣、これは私、読み上げても、質問原稿、きのうレクしているんです。事務方はちょっと言った方がいいですよ、ちゃんと。私は読み上げたんです、大臣がちゃんと答えやすいように、いい議論をしたかったので。そうしたらこんなまた答弁だから。大臣、ちょっとこれはだめですよ、本当に。ちゃんと、大臣、真面目に聞いていただくと、いつもすばらしい答弁をしてくださることもしばしばあるわけですから、ちゃんと、お願いします。次はちゃんと聞いていてくださいよ、答弁書をそんな一生懸命見ずに。仮に、じゃ、大臣、精神障害であった時点で雇用されましたと。その後、これは幸運なことにですが、回復していく。これは精神障害にある程度特有な部分になってくることもあるんですが、精神障害であったが、その時点で雇用された、障害者として。その後回復した場合は、回復した場合からは、もちろん障害者として計上すべきじゃないですね。逆に、そのために、その枠をこのくくりから、精神障害のくくりからその方を外して、別の障害者を雇用をどんどんしていくべきですね。精神障害はそこに力を入れていくことも大事だと思いますよ。そこで、こういう例で、大臣、精神障害が回復をしてその手帳を回収したという例はまだまだ少ないと思うんですが、そこら辺、数を私はいただきました、データで。その数とそこに対する認識を、大臣、おっしゃってください。
○根本国務大臣 今委員からもお話がありました精神障害者保健福祉手帳、これは一定の精神障害の状態にあることを認定して交付するものですから、精神障害の状態がなくなったときは、委員のおっしゃられるとおり、返還することになっています。そして、この実際の現状でありますが、精神障害者保健福祉手帳については、衛生行政報告例において、年度単位で、新規交付数、返還数及び手帳交付台帳への登載数を把握しております。何をもって手帳の返還率とするか、これはいろいろな考え方があると思われますが、新規交付数に対する返還数であれば、これは約一五%になります。それから、手帳交付台帳への登載数に対する返還数という見方で見れば、約二%となっております。これが今の現状であります。
○吉田委員 そもそも、大臣、やはり手帳が返納されるということはそこから脱したということで、非常に好ましいことですよね。そして、大臣、やはり精神障害のところの雇用をどんどんということをさっきはっきりとおっしゃっていただきましたよね。ですから、一番望ましいのは、精神障害として、その枠で雇用を企業ないし公的機関がさせていただいた、そして、回復をしてその手帳を返納して、さらに、その枠は新たな別の方、精神障害をお持ちの方の枠として雇用をつなげていく、そういった形が一番望ましいんじゃないかなと私は思うんですが、大臣、それについてどういう思いを持たれるか、また、そういうことを進めるような政策はとられるのかどうか、大臣からお言葉をいただきたいですね。
○根本国務大臣 例えば雇用率ということでは、種別に義務づけているわけではありませんので、全体の雇用率で、それぞれの事業主が対応するということだと思います。そして、その意味では、私の認識は、今、精神障害の方がこれから、ボリュームとしても相対的に多いので、現状では。ですから、精神障害の方に活躍の場をつくり上げていく。ただ、これはもう委員の方が御専門ですから、ただ、精神障害の方は、やはり不安定な状態にもありますし、長時間仕事ができないとか、いろいろそれぞれの状況がありますから、そこはそれぞれの皆さんに寄り添って、きちんとした仕事のできる環境整備をつくり上げていくことが大事だし、その辺のフォローも必要だなと思っております。
○吉田委員 大臣、本当によくいろいろなお知見をお持ちですけれども、委員の方が専門では困っちゃうので、大臣はやはり、我々よりもっと高い知見を持ってこの国を率いていただかなきゃいけないので、ぜひ、逆に本当にその辺はしっかりとやっていただいて、さっき大臣ははっきりと、やはり精神障害はふえているともおっしゃった、そこの雇用は大事だとおっしゃったので、そこはしっかりと、大臣、やってください。
次に、これは一般的にほかの委員からも指摘されるところで、企業としては、民間企業は、障害の程度が軽くて自分の会社にとって利益になる方をそれは雇用したい、採用したいというのは、これは、民間企業というのは利潤を追求する場でもありますから、やむを得ない部分もあるんだと思います。しかしながら、やはりそこに関しては、ある程度の行政の介入によって、バランスよく軽度から重度までの障害者の方を雇用してもらうような仕組みが必要と考えますが、大臣として、民間企業に対して、先ほどの障害種別もそうですが、軽症から重症まで障害の程度の差も含めてバランスよく雇用してもらうための方策として、厚生労働省、大臣としてはどのようにお考えになっているのかを教えていただけますか。
○根本国務大臣 そこは、それぞれの事業主に対して職域の拡大の努力を促していきたいと思いますが、障害の重度については、今、重度の方は、ここは、その雇用に施設とか設備の改善等に多くの負担を伴うので、これも委員既に御案内ですが、要は、雇用率のカウントのときに重度は二人分とカウントしている。その意味で、有利に取り扱うような適用、対応をしております。それから、先ほども申し上げましたが、短時間であれば就労可能な障害者等の雇用機会を確保する、こういう観点から、短時間労働者のうちの所定内労働時間が一定の範囲内にある障害者を雇用する事業主に対して特例給付というものを新たに創設しておりますので、そういう制度的な対応の中で、事業主の皆さんにはぜひ、障害者の職域の拡大の努力をしていただきたいと思っております。
○吉田委員 ありがとうございます、大臣。先ほどから特例給付金の話を中心に答弁をいただいている部分があるんですが、それだと、さっき申し上げたように、軽症から重症とか、種別の解決にはなかなかなりづらい部分があるんじゃないかということを、大臣、申し上げているんですよ。だから、そこを厚労省として余り考えないんだったらいいのかもしれない。軽症から重症までバランスよく雇用してほしい、そして、障害の種別に関しても、別にそんな、どこが多くても、どこが少なくてもいいと厚生労働省としてお考えになったら今の御答弁でいいかとは思うんですが、そこは、大臣、どうなんですか。さっき、繰り返しになりますが、精神障害の雇用をふやしたいとか、そういうことも言っていましたが、バランスをとる、だから、とるつもりが厚生労働省がないんだったらそういうふうにお答えいただいていいんです。とるつもりがあるのであれば、どういうことをするのか、何かしら工夫があるのかという問いなんです、大臣。どうですか。
○根本国務大臣 バランスをとるというよりは、むしろ、障害者の皆さんが、そのお一人お一人の希望に応じて、そして、お一人お一人の力が発揮できるような環境を整備して、そして、その結果として、バランスといえばバランスになると思いますが、やはり基本は、障害者の皆様の希望、そして、その力に応じてその能力を発揮できるような選択をしてもらうような、そういう環境を整備するということだと思います。その意味では、今回の法律の中では、国が率先して障害者を雇用する責務の明確化をしましたし、それから、障害者活躍推進計画というものをつくる、これも、作成して公表の義務化をしておりますし、障害者雇用推進者あるいは障害者職業生活相談員の選任の義務化、こういう仕組みを今回の法律で創設することにしておりますから、これらの新たな施策を含めて活用して、やはり基本は障害者お一人お一人の皆様が希望と適性、そして能力を発揮するような職についていただくということが私は大事なのではないかなと思います。
○吉田委員 大臣、ありがとうございました。まだいろいろ議論したいことがあるんですが、時間が参っております。またゴールデンウイーク明けにきっとたくさん議論の場があると私は、大臣、思っておりますので、そこで、ちょっとまだ、きょうお話しした倍ぐらいのボリュームを用意してありますので、ぜひ、すばらしいディスカッションをして、法律、行政として生かしていただくこともお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
以上、厚生労働委員会での障害者雇用促進法改正案への質疑の報告でありました。
私は、国民の皆様が安心・安全に暮らすことができる社会を構築するため、これからも、政府に訴えていきます。皆様のお声をお寄せください。
衆議院議員 吉田つねひこ 拝
書き込み失礼いたします。障害者雇用について、以前から気になっていたのですが、この4月になる以前から雇用されている障害者手帳を持った公務員は、下手をすれば差別的取り扱いを受けるため言い出しもできず、何の配慮もされないまま現在に至っているのではないかと思います。障害者枠で採用していない、そういった人たちに関しても対策は取られるのでしょうか。御一考いただければ幸いです。