広島への原爆投下から76年が経ちました。犠牲者の御霊に哀悼の誠を捧げると共に、今なお健康被害に苦しむ皆様そしてご遺族の皆様にお見舞い申し上げます。先月「黒い雨」訴訟において、原告全員を被爆者と認める判決に対し政府は上告しないことを決めました。一刻も早く幅広い救済を改めて切望します。
「黒い雨」は、1945年8月6日の原爆投下の直後に広島市とその周辺に降り、放射性物質や火災で発生した黒いススなどを含んだ雨を指します。「黒い雨」訴訟は、2015年11月にこの黒い雨を浴びた援護区域外の住民らが被爆者健康手帳の交付を求めて広島地裁に集団提訴したものでした。2020年7月に広島地裁は原告全員を被爆者と認定する判決を下しましたが、同年8月には国が広島県と広島市の反対を押し切って広島高裁に控訴しました。こうした中、私、吉田つねひこはこの「黒い雨」訴訟について、今年5月19日の厚生労働委員会で取り上げました。その抜粋を以下に掲載します。
◯吉田つねひこ 原爆訴訟における、原爆における補償になると、内部被曝まで含めると対象者の幅は極めて広くなります。悪性腫瘍など生命に関わる重篤な疾患に関しては、被害に関しては、確率的影響であるために、厚生労働省は、実はここは大変厳しいスタンスを取るんですよね。どうしても原爆の影響だとしか思えないものもありますし、日本は史上唯一の被爆国であります。無辜の民が大量虐殺をされた、戦争犯罪です、今起こったら。こんなこと、あり得ないこと。だから、厚生労働省は、すべからく全ての原爆被害者を救済する、補償すべきだと思います。特に内部被曝の危険性は、実は私が、原発事故が起こる前、相当前ですね、二〇一〇年四月九日、既に文部科学委員会で行っているんですけれども、このとき政府は、今でこそ内部被曝と原発事故の後おっしゃいますけれども、余り十分に理解しているように思えなかったんですよね。
(中略)原爆訴訟についてもその被害申請において幅広に取っていくべきだと私は思うんですが、ここに関して非常に厚生労働省は厳しいんですよね。そこに関して、大臣、何でですかね。◯田村国務大臣 (中略)原爆の場合は、例えば、がんや悪性腫瘍でありますとか、ほかにも、白血病もそうでありましょうが、いろいろな症状、一部それ以外の症状も認められていますが、それが本当に放射線に起因しているかどうかというのが分からないわけであって、つまり、爆心地から何キロという中で放射線を浴びているであろう、あろうことによってこういう疾病が生じているであろうという形でございますので、そこに証明というものが非常に難しい。
つまり、ウイルスを持っていれば、そのウイルスがどこから来たかというだけの話でありますけれども、それ自体、その疾病自体が、本当に被爆が原因かどうかということ自体がなかなか証明できないわけでありまして、そこは、一定の爆心地からの距離で、被爆しているであろうということで、最終的には判断をするということであります。◯吉田つねひこ 大臣、おっしゃるとおりなんですよ。むちゃくちゃ難しいんです。
第204回国会 衆議院 厚生労働委員会 第20号 令和3年5月19日(一部修正)
しかし、何で私が内部被曝の話をしたかというと、今の常識で考えたら、当時の医療レベルや原爆に対する恐れ、放射線に対する知識を考えたら、ほぼ、相当広域まで高濃度の内部被曝をしているに決まっているじゃないですか。大臣、それは当たり前ですよ。原爆が落ちて、やはりちょっと、大臣、原爆補償のこともよくよく勉強していただいて、科学的知見を持っていただかないとやはり困ります。すごい量の内部被曝をしているに決まっているんですよ、当時。
だって、全然分からないわけだから、知識がないわけですから。普通に生活していたわけですよ、いろいろなことが、いろいろな人が。第五福竜丸も、黒い雨が降ったけれども、それを口の中に入れてしまったなんという話があったわけですから。
そこは、私は、是非大臣にちゃんと考えて、こういった部分の補償も、老いて余命かなり短い方に対する補償でもありますから、もう少しスタンスを広くやっていただきたいなと思います。
本質疑から2ヶ月後の7月14日、広島高裁は原告全員を被爆者と認定するとした一審・広島地裁判決を支持し、国の控訴を棄却。26日、菅首相は上告を断念し、原告に対して直ちに被爆者手帳を交付する意向を示しました。極めて遅きに失しましたが、政府がまっとうな判断を下したことは評価に値します。広島原爆の日によせて、改めて「黒い雨」訴訟の原告を始めとする全ての原爆被害者に対し、菅首相自らがリーダーシップを執って速やかに救済が実施されることを切望します。
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衆議院議員 吉田統彦 拝