
昨年7月の参議院議員選挙さなかの安倍元内閣総理大臣銃撃事件を受けて、旧統一教会の活動などが問題となるなか、立憲民主党では被害対策本部を設置し、私も本部長代理として議員立法の制定に向けて真摯な議論を積み上げてまいりました。
そして、先の臨時国会において、立憲民主党などの議員立法の提出により、旧統一教会被害者救済への世論の大きな波が起こったのを受けて、岸田総理は臨時国会中の法案成立へ舵を切り、結果、内閣提出の「旧統一教会問題被害者救済法」が成立しました。
この法案が実効性を持つには、法の施行に向けての政令省令などでより具体的な取り決めを行うことが重要であり、消費者庁が策定を進めている「消費者庁長官の処分に係る処分基準等について(案)」の内容が重要となります。
しかし、3月2日締切のパブリックコメントにかけられた処分基準案は、岸田総理の本会議の答弁に反している上、そのもととなった野党提出法案の提出者などの考えから大きく外れ、加えて被害者や救済に長年取り組んできた弁護団からも「骨抜きとなって被害者救済にならない」との声が上がっています。そこで、この処分基準などに対する緊急要請を、大串内閣府副大臣に3月3日午前、西村本部長以下、本部役員で行い、私も出席しました。
今回求めた処分基準案は下記の通りです。
1.処分基準案「配慮義務の遵守に係る勧告等(法第 6 条)」について
①「(1)勧告」について、いわゆるマインドコントロールによる勧誘行為が行われた場合に、必ずしも外形的に 自由な意思の抑圧の程度や期間の長さが著しいとはいえず、自らの意思で活動しているように見えることが既に参考人等の国会質疑でも共有されていることから、「個人の権利の保護に著しい支障が生じている」については、「抑圧状態の形成過程で違法不当な方法が用いられた場合」なども明記すべきである。
②「(1)勧告」に関し、「『著しい支障が生じていると明らかに認められる場合』については、著しい支障が生じていることを客観的に認めることができる場合のことであり、例えば、法人等の勧誘行為につき、配慮義務違反を認定して不法行為責任を認めた判決が存在する場合が考えられる。」としている。岸田総理は「いわゆるマインドコントロールによる寄附については、~(中略)~取消権の対象とは明確に言えない場合についても、今回措置する配慮義務規定に抵触し、民法上の不法行為認定に基づく損害賠償請求により、被害救済に対応できる」と答弁し、配慮義務規定は新法の禁止行為には組み込めなかったが、いわゆるマインドコントロールによる勧誘行為に対する救済規定であるとしている。したがって、例示を判決に限定するのではなく、全国の消費生活センター・法テラス・消費者庁など行政に多数の相談が寄せられている場合についても含めるべきである。
③「(1)勧告」に関し、「なお、過去に著しい支障が生じていたが、既に勧誘の在り方が見直されて今後は改善が見込まれる場合には、この要件を満たさないと考えられる。」としているが、消費者被害の発生抑制の観点から、この点は削除すべきである。
④「(3)報告徴収」について、「1 (1)に挙げた要件[注:勧告の要件]が全て満たされていると考えられる場合に行う。」としているが、勧告の要件と報告徴収の要件を同一とするのは不合理であり、「1 (1)に挙げた要件が全て満たされているおそれがある場合に行う。」とすべきである。
2.処分基準案「禁止行為に係る報告、勧告等(法第7条)」について
①「(1)報告徴収」について、「禁止行為が不特定又は多数の個人に対して繰り返し組織的に行われており~(以下略)」としているが、いわゆるマインドコントロールの影響を受けた信者が、自主的に勧誘する事例も既に国会質疑で共有されていること、また、組織的に行われているか否かは外部から必ずしも明らかではないことから、上記の表現より「組織的に」の文言は削除すべきである。
以上になります。
以上の5項目の修正は、先の臨時国会で与野党協力のもと成立した法律が少しでも実効性を持つための、最低限の条件であり、今回提案した5項目を丸呑みして、実効的な基準を定めるべきです。
これからも私吉田つねひこは旧統一教会被害者救済及び新たな被害者が出ないために、不惜身命取り組んでまいります。
吉田統彦拝
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