吉田つねひこ「政治が視えるメルマガ」の第71号です。
このメルマガでは、国会の流れ、政策の動き、私の活動などをお伝えします。
テーマ : 日本の医療制度を名実ともに世界一にするために
~ Medical Tourismを考える ~
―第4回―
~はじめに~
「Medical Tourism(メディカルツーリズム)」について今回で4号目の投稿
となりますが、前号から先進的に取り組んでいる各国の具体的な事例を上げ
ながら考察しております。
今号では前回に引き続き、インドのMedical Tourismについて、代表格である
アポロ病院グループについて記述させていただきます。
■Medical Tourism(メディカルツーリズム)を考える
その4:インドのMedical Tourism<乙>
アポロ病院は、1983年にインド人医師のプラタプ・レディ博士(Dr Prathap C Reddy、
1957年生まれ)がチェンナイ市に創設したインド初の民間総合病院です。
1991年の経済自由化政策導入を踏まえた1990年代の新リベラル体制の下で、
ヘルスケアセクターの民営化が急展開し、大都市圏を中心に民間のコーポ
レート病院チェーンが急増しつつありますが、アポロ病院グループの持株会社は、
1979年に創設されたApollo Hospitals Enterprise Limited(AHEL)で、
インドのヘルスケア会社として初めてボンベイ証券取引所に上場し、インド
初のコーポレート病院として、アポロ病院グループは毎年1~2病院を新設し、
2011年現在では53病院、100クリニック、病床総数8,500床、専門医4,000名
を擁するアジア最大規模の株式会社形態の病院グループに成長しました。
私が以前勤務していたJohns Hopkins大学の国際提携部門であるJohns Hopkins
Internationalと共同研究の契約も結んでおり、病院チェーン網はインド国
内の主要都市はもとより、バングラディッシュのダッカやモーリシャスにも
展開しています。ニューデリーのアポロ病院がJCIから、外国患者受入れに当
っての国際基準適格認定を取得したインドの第一号病院となり、2011年現在
では、アポロ病院グループの6病院が認定病院となっています。前述のように
アポロ病院グループに属する一部の病院の株式は公開されて、高収益企業と
して高く評価されています。
グループの外国人入院患者は年間約1万人。外来患者数は年間約10万人で毎年
10%増加していると言われています。渡航元は多岐に渡り、米国、欧州(英国、
オーストリア、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、ポーランド)、湾岸
諸国、ナイジェリア、ザンビア、ケニア、タンザニア、アフガニスタン、モル
ジブ、パキスタン、バングラディシュ、ネパール、ブータンからの受診が多く
なっています。
レディ博士がアポロ病院を創設したきっかけは、当時のインドの医療水準で
は心臓移植はできず、当時公立病院に勤務していたレディ博士は担当患者に
心臓移植を受けさせるために米国へ送り出しましたが、手術前に死亡してし
まったことです。そこで、インドでも心臓移植を含めた高度な臓器移植を手
掛けられるような高度先進医療を担う病院を自らの手で創り上げたいと決心
して創設したのが、レディ博士によるアポロ病院設立の動機でした。
それから28年を経て、インドは心臓移植患者を米国へ送り出す国ではなく、
逆に米国から患者を受け入れる国に、まさに180度大きく転換したのには隔
世の感があります。創設以降アポロ病院グループの中核であり続けるアポロ
病院チェンナイは、インド政府から“Center of Excellence”賞を受賞し、
Week誌による過去3度にわたりインド最優秀民間病院としてランキングされ
ている60以上の部局から成るスーパースペシャリティ病院です。2011年現在
で実に27,000件以上の心臓外科手術で99.6%の成功率を誇り、骨髄移植の成
功率は70%となっています。
次稿はインドのMedical Tourismの締めくくりとして、ニューデリーのアポ
ロ病院についてご紹介したいと思います。
(次号に続く)
元衆議院議員 吉田つねひこ
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(2016年12月2日 記)
民進党愛知県第1区総支部長
元衆議院議員 吉田つねひこ