
私、?田つねひこは、4月15日(金)に衆議院の厚生労働委員会におきまして、岸田内閣総理大信に対して10分間の質疑を行いました。
そのすべてのやり取りを掲載します。


<橋本委員長> 次に、吉田統彦君。
<吉田(統)委員> 立憲民主党の吉田統彦です。総理、どうぞよろしくお願いいたします。貴重な時間ですので、早速質疑に入ってまいります。今回、薬機法の改正案の審議でございますが、総理、薬事法から薬機法に衣替えをしました。そして、PMDA改革、その他政府の御努力は、されているのはよく分かっております。その結果、我が国のドラッグラグ、デバイスラグは縮小されているとされていました。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症蔓延の状況下で、より本質的な我が国の弱点とも言えるデバイスラグ、ドラッグラグ、そういった問題が残されていることも明らかになっています。
今回の法案は、その解消にほんの少しだけ資すると考えますが、より本質的な問題であるパンデミック以外の対応や製薬メーカーの申請ありきの承認制度など、本質的な問題は置き去りにされています。また、一昨年のマスク不足や、それに続くアベノマスクの混乱等により、医薬品、医療機器生産体制の不備や生産能力の脆弱性も明らかになっています。特に深刻なのは、開発力が低下していることです。そこで、このような我が国の現在の医薬品、医療機器の研究開発力から生産力に至るまでの危機的な状況において、人材にだけフォーカスして、総理、聞いてまいりたいと思います。
先ほど鈴木英敬委員からもお話がありましたスタートアップ、そして、維新の金村委員からも、先日、ベンチャー支援のお話がありましたね。スタートアップというのはシリコンバレーで使われる言葉で、ベンチャーというのは和製英語ですね。似たような部分もありますが、若干の違いを持って用いられています。しかし、総理、スタートアップだろうが、ベンチャーだろうが、こういった野心的な、理系の野心的なベンチャーが活躍していくためには、そのベンチャーを支える理系のPhDの活躍が極めて重要であります。しかし総理、日本のPhDは、アメリカだとPhDはむちゃくちゃ社会的地位も高いわけでありますが、日本のPhDは、残念ながら、本当に就職先もないし、博士になってもその先どうなるか分からない、そういった状況にあるんです。ポストが圧倒的に不足している。こういった状況を改善しないと、この国の創薬、そして医療機器の開発は何ともなりませんが、総理、いかがでしょうか。
<岸田内閣総理大臣> 御指摘のように、我が国の研究開発力等を考えました際に、人の力は大変重要であると認識をしています。もちろん、その前提として、様々な予算、大学ファンド等の予算や、大学改革、様々な制度や組織の改革、これも重要なことでありますが、その中にあって、人材、御指摘のPhDの在り方、こうしたことの重要性を政府としましてもしっかり認識をしております。
研究開発費の充実と併せて、PhDを取得した若手研究者への支援を始め、抜本的な支援を政府としても考えていきたいと思っています。また、このPhDの研究者の支援ということを考えた場合に、一つ、臨床系分野において医師免許を持つ教授が、工学や情報学など医学以外のPhDの学位や専門性を有する教授と連携する、こうした分野を超えた連携、これが成果につながるという指摘、これも重く受け止めなければならないと考えております。医学研究の更なる進展のためにも、こうした取組は重要であると考え、引き続き、医学分野と他分野の連携を促す取組をしっかり進めていきたいと考えております。
<吉田(統)委員> 総理、ありがとうございます。しっかりお答えいただきましたが、ちょっと私が細かくレクをしておいたので、多分、先を少しお話しいただいたんだと思うんですが、総理、そのとおりで、例えば、医学部の内科なら内科、外科、産婦人科、眼科、そういった診療の臨床科にも、私、ジョンズ・ホプキンスにいたんですが、アメリカだと、MDの教授、MDとPhDを持つ教授、そしてPhDの単独、つまり医師ではない理学系、農学系、工学系、こういった教授が並立しています。そしてチェアマンと言われる教授がそのトップに立つんです。これが、非常に有機的な連携を取って、いい研究をして、いい創薬、医療機器、医薬品を生み出していきます。
総理がおっしゃったことは間違いではないし、大変すばらしい御決意を述べていただいたんですが、具体的に言うと、こういった、医学部の中に、欧米のように、チェアマン制度でもいいと思うんです、複数の教授、いろいろな特性を持つ教授、これを置いて、やっていただきたいということを、一歩進んで申し上げて、もう時間がないので次の質問に移ります。総理、大変いい御答弁いただいたので。
次に、ブレーンサーキュレーションです、総理。いわゆる超一流の研究者、科学者、要はスーパースターですね、山中先生のような。ああいったスーパースターを我が国に引き込んでくる、つまり、世界中の優秀な学者が我が国の研究する環境を好んで集まっていただけるようにならないと、我が国の研究開発は進まない、さっきのスタートアップもそうですし、ベンチャーも何も育ちません。
そこで、要は、今、逆なんですよね、総理。日本の優秀な学者がどんどんどんどん海外に出ていってしまっている。日本で本来、研究開発にいそしんでいただきたい人材が海外に出ていってしまっているんですよ。これは、大変、我が国の損失になっているわけであります。
一つの例が、総理、先ほど、NIHの話が出ましたですね、鈴木委員からですかね。NIHは、一本釣りできるんです、研究者を。優秀なこれぞと見込んだ研究者を、研究者も用意して、PIというポジション、プリンシパルインベスティゲーターというものにして、若手だろうが何だろうが、若い本当に萌芽的な研究者もぐっと連れてくるんですよ。ただ、これが、日本版NIHを目指していたとされるAMEDは、自前の研究室が持てないんです。お金配りしかできないので、自前の研究室をつくってPIという立場を授けられる環境にしないと、世界中の優秀な学者にとって、日本の研究職は魅力的じゃないんです。先日、M・D・アンダーソンという有名な、テキサスのがんの、オンコロジーの非常に有名な病院、ここの極めて優秀な学者に、日本に幾らだったら来てくれると言ったら、五千万なら行きますと言ってくれたんですね。この方は日本人なんですよ。ただ、日本だと、この五千万を出すことが、現行だと、総理、できないんです。だから、こういったことができる制度を整えたり、さっき申し上げたように、優秀な学者を一本釣りして日本で研究していただく、こういった環境をつくることが、総理、本当に大事だと思うんですが、総理、御所見をお述べいただけますか。
<岸田内閣総理大臣> まず、基本的に、委員御指摘のような環境を整備することの重要性、これは私も全く同感であります。今の日本の現状を見た場合に、様々な点において工夫をし、そしてより優秀な研究者に日本を舞台に活躍してもらう、こうした環境をつくっていく、こういったことが大事だと思います。具体的にいろいろな指摘があります。委員の御指摘も含めて様々な指摘があり、我が国として考えていかなければならない点は多いと思います。ちょうどつい先ほど、先日、日本国際賞を受賞された研究者の皆様方とお会いする機会がありました。世界最先端の科学技術分野での貢献を日本として表彰する、こうした賞の受賞者の皆さんと意見交換する中で、例えば、ある方が、沖縄のOISTを高く評価する、こういった発言がありました。日本においてもそういった世界から魅力のある、世界の人材を引き入れる環境を実現している場があるわけでありますから、そういったものもよく参考にしながら、是非、環境整備を進めていきたいと思っております。
<吉田(統)委員> もう時間がないので終わらせていただきますが、総理、ただ、今おっしゃっていただいたことは事実でもありますが、一般的に、日本のプロフェッサーシップは世界において余り魅力がないんです。私は、ジョンズ・ホプキンスでグレッグ・セメンザという、2019年のノーベル賞の医学・生理学賞を取った方と共同研究していまして、当時彼は全然、恐らくノーベル賞を取るだろうなと私、そのとき予想はしていたんですが、物の見事に取られた。彼とも話しましたが、日本というのは研究者がスーパーマンだ、医学部の特に教授は診療をやって、研究をやって、教育までしているんだろう、そんなのは世界に類がないけれども、限界が来ているんじゃないかということもやはり言われました。総理、是非、今回いいディスカッションができたと思いますので、さらに、まあ一言いただければありがたいですけれども、是非こういったことを政策決定の上でお酌みいただきたいとお願いしまして、一言あれば是非いただきたいんですが。
<岸田内閣総理大臣> 委員の今御指摘があった点で申し上げるならば、今、政府としましても、十兆円の大学ファンドを創設していますが、併せて大学改革をやらなければいけない。その最も重要な点は、研究と経営の分離であるということを申し上げています。研究者の方々に、より研究に専念してもらえるように、特に若手の研究者の方々に専念してもらえるように、大学改革も併せて進めることが重要だということを申し上げています。委員の今の御指摘に通ずる部分があると考えております。
<吉田(統)委員> ありがとうございました。終わります。